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成長モデルとしての鬼速PDCA

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最近は仕事の合間を縫って、今秋に発売を予定している2冊目の本の執筆のために、ZUUが実践している『鬼速PDCA』の体系化作業に取り組んでいる。

しかし、いざやりはじめるとこの作業が意外と難しいことに気づいた。思考を言語化する作業は得意ではあるし、ましてやPDCAについては社会人1年目のときから日々意識して行ってきているだけに楽勝かと思ったが、たとえばDOを図式化する作業だけで5時間もかかってしまった。

しかし、体系化の過程で改めて気づいたことが3点ある。


1) 世間で言うPDCAは業務寄りなものばかりであること

私のPDCAはほぼ独学で身につけたものだが、体系化にあたって参考になるかと思い、「PDCA」と名のつく本を片っ端から流し読みしてみた。

するとほとんどの本が、組織としてどう目標を達成するかといったマネジメントの話や、サービスをいかに向上させるかといった品質改善の話に終始していて、「個人レベルでどんどんPDCAを回していくこと」のメリットを謳った本が少ない。これには驚いた。

もちろんPDCAは品質改善のために生まれたものなので仕方ないかもしれないが、私からすればずいぶんもったいないように感じるのだ。

いまテレビを賑わせているオリンピック選手たちもこの4年間、日々、反省と改善を繰り返してきたように、人生において何か本気で成し遂げたいことがあったら人は試行錯誤をする。モテるためにファッション雑誌を読みあさったり、美味しいカレーを作るためにいろいろな隠し味を試したり、大きいブラックバスを釣るために橋桁の構造を調べてみたりと。

それらはすべてPDCAである。逆に言えばPDCAができない人などいないわけであり、PDCAは管理職だけに必要なスキルではない。むしろ若いビジネスパーソンほどPDCAを実践すべきである。


2)PDCAもPDCAの対象であること

体系化作業が難航した最大の要因は、私の中でPDCAのフレームワークが年々変化してきたからだ。言って見れば、PDCAのPDCAである。

野村証券に入社したころなどは、紙に「P」「D」「C」「A」と大きく書き出して、計画なりタスクなりをどんどん書き込んでいたものだ。いわば、もっともシンプルなPDCA。でも、飛び込み営業をしていた当時のゴールは「受付を突破すること」のみ。だからシンプルな形でも効果を得ることができたのだろう。

その後、PDCAを回す感覚が習慣になって扱うタスクも増えるようになってくると、大小さまざまなPDCAを同時に回すスキルもいつの間にか習得していた。そしていまでは経営者として社内で毎日起きる課題を解決すべく、文字通りの「鬼速」でPDCAを回せるようになっている。

ここで言いたいのは、PDCAはビジネススキルであるということだ。スキルなのでいきなり難しいことはできないかもしれない。だから最初は、短期または小さな目標を立ててPDCAを回す感覚に慣れていき、徐々にPDCAのスキル自体も進化させていけばいいと思う。

いきなり無理をして「やっぱり自分にはPDCAは無理だった」と諦めてしまう方がはるかにダメージが大きい。

複利の投資は開始時期によって生涯リターンが大きく変わる。それとまったく同じで、PDCAを早めに意識しはじめれば人生で成し遂げられるものはまったく変わってくる。


3)PDCAが日々の自信の源泉であること

PDCAの魅力は実はここなのではないかと思う。

PDCAを回すとき、必然的にゴールとその道のりが決まる(これらが決まっていないとPDCAとは言えない)。ゴールや道のりが決まっていれば、「なんでこんなことをやっているんだろう?」「なんのために毎日頑張っているんだろう?」といったありがちな不安感は無くなる。

つまり、PDCAを回している限り「確実にゴールに近づいている感覚」を常に味わえるのだ。朝起きても「さあ、今日も前に進もう!」と元気になれるし、壁にぶつかったとしても「これは想定内だ。さあ、これをどう乗り越えよう」と前向きになれる。

そしてなにより、前に進んでいる自分に対して自信が湧いてくる。自信が持てればモチベーションも湧くので、PDCAでもっとも大事な「継続」につながる。

PDCAこそ究極の成長モデルなのだと思う。

photo credit: Before The Sun Goes Down via photopin (license)