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1円玉を100円で売るための3つの仕掛け+おまけ

 

 

 

 先日ある所で、自分自身の過去の営業記録などを知っている方に面白い質問をされました。

1円玉を100円で売るにはどのように説得するんですか?」と。

これは最高の質問ですね。この手の相談は大好きですw

 

訳あってプロフィールページを一時的に削除してますので、自分自身の営業のキャリアだけ簡単に紹介しておくと、新卒で金融機関に入社し東京23区の某営業店に配属され、顧客ゼロからスタートして毎日、法人や個人富裕層へ飛び込み営業を行っていました。何度も壁にぶつかりましたが、死ぬほどやったお陰で同世代のトップセールスになり続けることができました。

 

さあ、では簡単に自分自身の営業経験をシェアした所で、本題に戻ります。

 

この手の話を聞いて思い出したのが有名になった2冊の本のタイトルです。

 

『エスキモーに氷を売る』

100円のコーラを1000円で売る方法』

 

営業マン時代に自分もこれらの本のタイトルに誘惑され本屋で手に取って読んだことを鮮明に覚えてます。

ただ、読んだ多くの人が面白かったが、本のタイトルに答えていないという反応でしたよねw

どちらかというと営業そのもののテクニックというよりマーケティングに近いブランディング系の話だったと記憶してます。

 

今回は、自分なりに営業という視点から思いついた3つの仕掛け方について簡単に書いてみたいと思います。

 

 

 

1. 差別化を行う

 


 

さあ、まずは差別化という話です。

私が卒業したSingapore Management Universityのビジネススクールでも教授が「差別化戦略」がビジネスを運ぶ上で最も重要だなんて熱弁を振るっていました。

 

ただ、このケースでは差別化の例はちょっと思い浮かびにくいかもしれません。

順に説明していきましょう。

 

例えば、最近は分かりませんが、金融業界では2009年頃に“ワクチン債”というオーストラリアや南アフリカの債券が人気になりました。

ワクチン債によって調達された資金は、世界の70カ国以上で子供たちの予防接種や保健サービスのための財源とされるという仕組みでした。

 

普段から扱っていた“オーストラリアや南アフリカの債券という商品”を、“恵まれない子ども達への支援”という別のモノとして販売したことになります。初めて債券を購入する消費者が多かったと聞いています。

 

さあ、次にステップダウンして通貨の例で説明してみます。

「ギザ十」と呼ばれる十円玉が存在します。これは、日本で1951年(昭和26年)から1958年(昭和33年)にかけて製造された十円硬貨のことを指します。

これは、明らかに他の十円玉と差別化が行われています。

つまり、プレミアムが付いた十円硬貨ということです。

 

結果として、「通常の10円玉<ギザ十」という関係式が成立つことになります。

 

中でも昭和33年は約2500万枚の発行枚数で少なく、最も価値の高い60円前後の流通相場だという話も聞いたことがあります。

ここで既に、「十円玉=60円」という式が成立ってしまいました。

 

 

さあ、これと同じようなことを1円玉で出来ないでしょうか?

 

一円玉にも製造年が記載されているはずです。

 

例えば、ある夫婦にとって、昭和45年が結婚記念日だったとしましょう。

少なくとも、この夫妻にとって、 

「通常の一円玉<昭和45年の一円玉」 ということになるでしょう。

 

これじゃ納得して頂けないでしょうw

もっと極端な例を出します。

 

例えば一円硬貨のWikipediaページを調べてみると「1968年:生産過剰となったため1年間製造を休止」と書かれています。

さあ、もし「幻の昭和43年一円硬貨」が数枚だけ存在したらいかがでしょう?

コレクターには溜まらない出物でしょうね。

「開運!なんでも鑑定団」で盛り上がってる姿が目に浮かびますw

 

このように、売ろうとしている一円玉を他の一円玉と差別化してしまうという仕掛けが使えます。

 

 

 

2.情けを乞う

 


 

これは決して冗談ではありません。

このような仕掛けを前面に出していく営業マンも世の中には沢山存在します。

 

自分が幼い頃、いつも家に新聞の勧誘に来る販売員さんが私の母親によく泣きついていました。

「今月10件以上契約取れないと職を失うんです…」とかなんちゃらやらと。

よく「これ売れないと上司の怒鳴られるんです」みたいなのもよく聞きますよね。

 

営業マンが台風の中や雪の中、また灼熱の中、新規開拓営業して周ってたら「こんな中よく頑張ってるねー」とお客さんになってもらったなどという話もよく聞く話ですよね。

 

特に日本人は情が深いですので、こういったやり方には非常に弱いです。

そして、これは信頼関係や人間関係が強ければ強いほど更に容易になります。

 

関係式としては1円玉+情=100円」というようになるでしょう。

 

あまり長続きするやり方ではないですが、仕掛けとしては有効です。

 

 

 

3.組み合わせで売る


これは、営業活動では、よく使われる手法です。

 

身近な例だと新聞の販売員さんが、「野球のチケットつけますんで」「アタックもつけますんで」「ビール券もつけます」何ていう状況を目にしたことがある人は多いでしょう。

 

また、銀行に行くと、「投資信託を購入した人向けに、3ヶ月定期預金3%!」なんていったものもよく見受けられます。

 

では、これを一円玉の例に応用します。

例えば、「1円玉とセットでミネラルウォーターをつけます」というセットにしてみたり、、

もしかしたら「1円玉とセットで肩揉み10分サービス券をつける」といった子どもの頃に親にプレゼントした肩たたき券のようなものでさえありえるでしょう。

 

これは、一円玉と100円を交換して99円損しても、その他のメリットが100円以上の価値と考えれば交換が成立するという仕掛けになっています。

つまり、少なくとも 10099円=1円以上の利益が出ることになります。

 

ここでは、 「一円玉+α>100円」 という式が成り立つことになります。

 

☆☆☆

 

 

※おまけ:番外編


さあ、最後に番外編と題して、もっと過激なことをしてみます。

 

それは、1円玉を溶かし、アルミニウムにしてしまうというやり方です。

近年アルミニウムが高騰して、一円玉を製造すればするほど赤字になるという話は有名です。

 

ただ、もちろんそれでも一円玉を溶かしたアルミニウムが100円の価値を越えるには相当な資源の高騰が必要となるので100円までの上昇は考えにくいかもしれません。

 

ただ、どうでしょう?

いますぐに、アルミニウムを欲している人がいれば、1円玉分のアルミは100円にもなりえるのではないでしょうか?

 

これは、水とダイヤモンドの理論として有名です。

つまり、水が幾らでも飲める環境は0円の価値だが、水が枯渇し生死に関わる状況(砂漠や震災時)ではダイヤモンドよりも価値が高まるという理論です。

 

理系の友人が「明日までに完成させなければならない実験でアルミニウムが必要だけどない時は、一円玉を大量に溶かして使うんだぜー」みたいな冗談話を聞いたことがあります。

 

アルミニウムの存在が緊急性を要すれば、(例えば卒業論文の締め切り前ギリギリでの調達とか)

1円玉は100円以上の価値を産むことになります。

 

「一円玉分のアルミニウム+緊急性を要する対価>100円」といった関係になります。

 

 

 

以上です。ちょっと面白いネタだったので、ふざけ半分で書いてみましたが、どれも営業のスキルとして実際に使われている内容です。

営業ネタは相当あるので、これもまた書いていきたいと思います。

 

 


追記:これを書いた後に、Twitterで「参考になった営業の本は何か?」という質問があったので答えました。

色々読みましたが、特にこの4冊が勉強になりました。

対個人:「成約率を3倍に伸ばす新規開拓の極意」「凡人が最強営業マンに変わる魔法のセールストーク」

対法人:「法人営業バイブル―明日から使える実践的ノウハウ」「法人営業のすべてがわかる本 」

以上です。

photo credit: brandon king via photo pin cc