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シンガポール(海外)移住(PR取得など)の注意点

photo credit: rick via photo pin cc

 

ここ数年、特に東名阪のビジネスかつ富裕層密集エリアでは外資系金融機関を中心に海外への資産移転を積極的に斡旋している。

またそれを仲介する会社というのもあちこちで出てきている。

Googleで検索すると全部チェックするを諦めるくらいの会社数がヒットする。

そこで、その実態と注意点をまとめてみることにする。

(最初に断っておくと、あくまでも私は海外移住は賛成の立場です。ただ真実を理解して欲しいという想いで書いています)

 

【誰が積極的に斡旋しているのか?】

海外に受け皿のある外資系の金融機関や海外にネットワークを持つ仲介会社。

特に話を持ってきているのは、UBSやクレディスイス、また日本にオフィスはないがシンガポール系のPBであるバンクオブシンガポールなどは海外から日本へ積極外交していることで有名。

(2004年にシティが金融庁より営業停止を受けたように、あくまで日本でビジネスを行う金融機関は慎重にやっているのだが。)

 

【彼らは何をしているか?】

大袈裟に言うと、富裕層達の不安を煽り、国内に資金を置いておくことの危険性を語り、スイスやシンガポールや香港への資金移動と移住を薦める。

その大きなセールストークとして、永住権を簡単に取得できるし、また全ての手配を手伝うと謳う。

 

【どのように永住権を取得するか?】

(シンガポールの例)

シンガポール政府公認の金融投資スキーム(FIS)を使う(GIPという少し敷居が低い制度もある)。

基準は、5年間シンガポールに1000万シンガポールドル(約6億円)以上の金融資産を保有していること。

(昨年までの500万シンガポールドルから倍になった)

 

【何が落とし穴か?】

(シンガポールの例)

1.審査の厳格化


近年これらのスキームに関しても審査が厳しくなっているし、また取得までの期間が長くなった。

背景は中国人の申請数がこの数年で倍増しており、シンガポールとしても警戒をしているそうだ。

ちなみに、先日シンガポール政府の官僚とミーティングした時の話だが、もっと基準を高くする(例えば最低条件を3000万シンガポールドルにするなど)ことで真の富裕層、真の大物がもっと容易に永住権を取得したり、もっと言えば国籍を取得できるようなスキームを現在検討中とのこと。

 

2.子息の軍役義務


シンガポールの永住権を取得する時の一番の関心事になるのはPR取得後、子息の世代が軍事訓練に行かなければならないこと。

兵役が義務化されていない日本人にとって、子息にその義務が課される事にはかなり抵抗があるのは当然でしょう。

 

3.税制に関する理解不足


シンガポールの証券税制(所得税の低さ・投資売却益などの非課税)を謳う人々が多いが、誤認説明があるケースが多かったりもする。

結局完全に移住しない限りは、シンガポールでの利益は非課税かもしれないが、日本では課税対象になる。

もちろん多様なプロダクトへのアクセスというメリットは残るが、税制のメリットはない。

 

4.最終的に帰国を決断した場合のリスク


移住を決意しても、70歳を過ぎてくると、色々な面で不自由を感じることがあり、結局日本に帰国してしまうこともあるようだ。

もちろん、このケースでは最終的な財産など日本で課税される。

 

このような真実を知った上で行動する必要がある。

最近は、しっかりと調べないままに、このような動きを煽る傾向も出てきており、そこには不安を感じている。

そのような話をする上で、金融担当者にはしっかりと勉強をして欲しいし、また真実を伝えて欲しい。

そして移住するならハッピーな形になって欲しいと思うところである。

 

(追記) シンガポールでお世話になった皆様(特に影響力のある加藤さん・岩田さん・関さん)などを通じてTwitterなどでRTして頂いたお陰で、アクセス数が急増しております。

ここで3点、追記しておきます。

  1. あくまでも個人的に取得した情報により書いておりますので、税制面や法律面で間違いがあるかもしれませんし、金融機関の動向に関しても内容を保証するものではありません。(詳しくは専門の弁護士・税理士様にご確認ください)
  2. あくまでも、これは個人の意見であり自分自身が所属する機関には全く関係がございません。
  3. あくまでも私自身の立場は日本のグローバル化・日本企業の海外進出・日本人による海外移住には賛成であります。

ただ、真のグローバル化が始まろうとしている日本において、変なトラブルが起きたりする事で、このような流れにマイナスのイメージがついてしまうことを恐れているということです。 以上になりますが。この度は、当ブログへ足へお運び頂き、誠にありがとうございました。